キンダー(幼稚園)通園と情緒の安定の関係

私にとって長女は子育ての初体験。長女であるからには両親からの愛情をしばらく独占できるという特権と引き換えに、子育てが全く分かっていない両親のモルモットとならざるを得ない負の面もある。

 

長女より2歳半年下の長男については、キンダーに行かせない事にしたが、長女はモルモットなので4歳の1年間キンダーに通園する事になった。

 

キンダーでの1年間、彼女は本当に模範的な「良い園児」を演じきったように思う。園長さんからは、他の子達への気配りができ、誰とでも仲良く出来る子でみんなのリーダー的存在だとお褒めの言葉を頂いた。

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こちらのキンダーでは授業参観日の他にも、希望する親はヘルパーとして授業の手伝いに入りながら子供の様子を見ることができるので、それを利用して長女の様子をクラスで見たことが2回あった。

 

授業内容は歌、粘土、ブロック、パズル、工作や外遊びが多く、日本の幼稚園とこの辺りは同じだ。私の園児時代は発表会用の劇のために台詞を覚えたり、ハンドベル、ピアニカの練習を何時間もさせられた記憶があるが、そういった事は長女のキンダーではなかった。

 

どのアクティビティが与えられても、長女はとても素直に先生に従っていた。家庭では自ら遊びを提案していくタイプで、自分が決めた遊びに1時間以上没頭する事が多かった長女。キンダーではほぼ20分毎に次のアクティビティーが大人から「用意される」ような時間割 で運営されていた。

 

幼児教育、早期教育の方向性と言えば、日本もオーストラリアもさほど変わらなかった。どちらも大人主導であって、子供は大選択したものを与えられる側になっていた。

 

教室で長女を見ていた私の心境は複雑だった。長女はあまりにもお利口さん過ぎる。彼女のパーソナリティーは次々と与えらる多忙なアクティビティに押し潰されているようにも見えた。

 

長女はキンダーで遊んでいるはずなのに、家庭で遊ぶときのような熱中している表情や何かを成し遂げた時の輝いた眼差しは唯一外遊びの時間を除いて見られなかった。

 

長女にとってのキンダーの1年は楽しくもありながら相当なストレスでもあったに違いない。それまで癇癪をほとんど起こした事のなかった娘はキンダーから帰宅すると些細な事で癇癪を起こす事が増えていた。

 

当初はキンダーでいじめにでもあっているのかと考え、長女本人にも聞いたが、そんな事はないと言う。キンダーのスタッフに聞いてもとても模範的な園児で皆と上手くやっているとの事。

 

結局、1年が経ち長女は一日も欠席する事なく卒園した。

それ以来、長女の癇癪はめっきりと減った。