ホームスクーラーの一日

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  •  誤解を生む「ホームスクール」

 ホームスクールをしていると言うとほとんどの場合、子供と1日中家にいてストレスが溜まらない私は正気かという反応だ。オーストラリア人は結構ストレートなものの聞き方をしてくれるので、「Are you crazy??」と直接聞いてもらえる事は私達が世間でどう思われているかを知れるのでありがたい。

 

ホームスクールを選択した時点で、ある程度正気でないと思われる事は想定内なのだが、私だって普通の母親なので、毎日1日中子供と家にいれば、気が狂いますよと答えている。Super mumだとも言われるが、私からすると毎日お弁当とおやつを作って、学校の送迎の通学ラッシュを週5日こなすスクーラーのお母さん達の方がSuper mumに見えるものだ。

 

「ホームスクール」という言葉が、多種多様なホームスクールの実態を表すのに最適な言葉ではないので、1日中家で勉強をしてると誤解されても致し方ない部分は否めない。私個人的には、ホームベースドエジュケーション(家をベースにした学習)という方がより実態に近いのではないかと思っている。

  •  長女6歳の時間割

 私達の家庭では、長女が6歳、長男が3歳と比較的小さいので、長女についてはヴィクトリア州のPrep(日本の小学1年生より1学年前の学年)のカリキュラムに沿いつつ、遊ぶ時間が勉強の時間を上回らないように気をつけた以下のような時間割を組んでいる。

 

       月曜 午前勉強     午後ダンスクラス

       火曜 午前勉強     午後友達と遊ぶ

       水曜 午前図書館のお話 午後友達と遊ぶ

       木曜 午前図書館で勉強 午後遊び

       金曜 午前図書館で勉強 午後体操クラス、友達と遊ぶ

       土曜 10時から15時まで 中国語学校で中国語とアートクラス

 

1週間で机に向かう学習の時間は今のところ約10時間程度だ。

 

私達の場合、学習内容は簡単な算数や日本語の読み書きの時間を約1時間ずつとってはいるが、国語がある程度できれば、自分で興味ある他教科の本も読む事ができるだろうという意図から学習内容のほとんどが国語(英語)を占めている。

 

  

 

この週間スケジュールをベースに、月に数回ホームスクーラーのイベント(社会見学、理科の実験、工作等)に参加している。ホームスクーラーというと家に一日中いるイメージとは違い、ほぼ毎日どこかにでかけている。

 

学校に行かない事で、友達関係はどうしているかともよく聞かれるが、毎日どこかに出かける度に、ホームスクーラーの友達と遊ぶ機会があるので、それほど友達を作るのに苦労した記憶もない。

 

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  • 「ホームスクール」の形態とアドバンテージ

私達のホームスクールライフは遊びを中心にしたスケジュールの中に学校の勉強を補う方法をとっているが、ホームスクーラー人口の中でも非常に多いカトリックの家庭では宗教を中心にホームスクールをしているし、アンスクーラーといって学校の教科をほとんど教えず、ライフスキルを学ぶ事を中心にしている家庭も少なくない。

 

元来、ホームスクールをする家庭というのはそれぞれに教育に求める個々のニーズが違っているもので自分達でカリキュラムや教育方針のイニシアティブをとれる事こそがホームスクール最大の利点だと考えている。

 

私の家庭では、机に向かう長女の集中力が一日中はとても持たないので最長でも1日2時間の学習にとどめているが、今後成長とともに徐々に時間を長くしていく予定だ。

 

低学年の間は、学校に通う子ども達と比べて、かなりのんびりとしたスケジュールなので、同級生と比べると「遅れている」教科もあるかも知れないが、その部分については心配はしていない。

 

私達の子ども達が将来的に何か没頭できる科目やテーマを見つけてくれた時、ホームスクーラーである事は大きなアドバンテージになるはずだ。

私が高校で経験したように、生物や数学の時間に英語の勉強をして、教師から教科書を投げられる経験をしなくても良く、自分で選んだ教科や活動に思う存分没頭しても誰からも怒られないだろうし、学習の動機付けについてまわりの友達がしているからというプレッシャーからは自由に自分自身に求められる事は非常に重要であると思っている。

  •  受験戦争と進路

日本でもオーストラリアでも大学受験準備の混沌とした時期というのはとてもストレスフルで、進路を考える時期といった点ではとても最適な時期であるとは思えない。

大学進学を視野に入れているなら、高校2年生辺りから(場合によってはもっと早くから)受験勉強を一日何時間もしている生徒は多いだろう。

(オーストラリアでは高校生活最後の2年間の成績が直接大学入試の点数に関わる)

 

受験と時間の2つのプレッシャーの元で、志望校を決めなければならない。志望校を決めることは将来どんな職業に就くか、就けるかに関わる事でそう簡単に決められる事ではないだろう。ほとんどの高校生は、私もそうであったように学校の進路相談という名の成績から自動的に弾き出された射程圏内の大学への入学を勧められるか、保護者からの希望から外れすぎないような進路、または友達の選択と似たような進路を選んでいるのではないか。

 

私自身の経験を例に挙げると、志望校には合格したものの、結果的に保護者の意見に流されてしまい「潰しが利く」法学部へ入学するという悲劇の上、結局大学2年生で大学を2年間休学、元々希望していた進路に近い経験を積み、同級生より2年遅れて卒業する事になった。

 

「潰しの利く」法学部の悲劇は私だけに限った事でなく、友人にも在学中に全く法律に関係のない専門学校をダブルスクールしていたり、卒業後に違う大学へ入学した者もいた。確かに、就職の際法学部出身者はどんな企業、業界、職種にでも採用されているので「潰しの利く」という親のアドバイスは間違っていなかったと思う。ただ、そういったアドバイスをする大人自身が、その内容にどれだけ責任を持てるだろうか。

 

受験勉強を頑張ってしまう子どもは比較的大人に従順な「いい子」が多いだろう。

だからこそ、外部からのメッセージを送る大人は非常に慎重にならなければいけない。

欺く言う私も親として自分の子どもの進路について意見してしまう日が近い将来訪れるだろう。そんな時にためにこのブログを備忘録にしたいと思っている。

 

「ホームスクーラーの一日」の話から大分と逸れてしまったが、比較的ゆっくりとしたスケジュールをこなしているので、私は皆さんが言う程のcrazyな生活をしているのでもなければ、super mumでもないと言う事を知って頂きたく。

 

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